天使の梯子
「ちょっ……」
さすがにこれはないと慌てて身体を起こそうとする私に、ジャケットを脱いだ諏佐さんが覆いかぶさってくる。
さっきみたいに頭の上で腕を押さえられて、抵抗するけどびくともしない。
「俺はいい彼氏じゃなかったからね。楓が優しい子だったから、その楓の優しさに甘えてた。楓が我慢してることにも気づいてたのに」
首筋にキスされて、舌で舐められてゾクゾクして肌が粟立つ。
「今、クリニックで働いてるんだね。て、ことは明日も休み?」
なんで知っているんだと思って気づく。そうだった。バッグ、とられてた。
財布には保険証も入ってるし、バッグに社員証も入っている。
「ねえ、楓。楓と直哉の間になにがあったかなんて、俺はどうでもいいんだ」
その言葉に、はっと諏佐さんを見る。この人、あのときのことを知ってるの?
動揺する私の唇を、諏佐さんが指でなぞる。