キミは僕に好きとは言わない
「どうですか、なずなちゃん。似合ってますかね?」
照れ笑いを零しながら桃矢がくるりと回る。
言葉に詰まったわたしは、無言でゆっくりと頷いた。
まって……。
本当に、桃矢なの……?
寝癖がついていたはずの髪の毛はきっちりと整えられていて、長すぎる前髪は横に流して顔がよく見えるようになっている。
癖になっていた猫背も衣装の効果なのか、ピシッと伸びて、堂々とした雰囲気を感じた。
「えっ!?杉浦!?」
「うそでしょ!?超イケメンじゃん!」
控え室から桃矢が出てきた瞬間、その圧倒的な存在感に男女問わず見惚れていた。
わたしもぼんやりと桃矢を見上げたまま身動きが取れなくて、クラスメイトが周りに集まってくるまで呼吸すら忘れるところだった。
「杉浦ったら、そんな綺麗な顔隠してたなんてずるいよー!」
「めちゃくちゃ似合ってる!」
「えー、写真撮りたぁい」
「あっ、えっと……」