続★俺だけの家政婦さん

初めての人

『恋しくて』の最終章は

お互いの気持ちを確かめ合い、あふれる思いを吐き出すように

激しく求めあった。

と書いてあり、今それが、現実のものとなっていた。


まだ日が明るいが寝室は遮光カーテンで薄暗かった。

恋愛小説でこういうシーンを何度も読んだし

キュンキュンした。

だけど実際に自分が体験するとそうもいかない。

だって私、こういうの初めてなんだもん。

「わ、わたし……」

正直好きな人に初めてですって言えなくてしどろもどろになっている。

だけど野末くんは「わかってる」とだけ言うと

何度も何度も触れるだけのキスをした。

顔、首…

そして生まれて初めて首より下の体を異性…いや

大好きな人に触れられている。

小説やマンガでの知識しか持ち合わせていない私にとって

これから起こることにドキドキを通り越して不安の方が断然大きい。

だけど、野末くんの事が好きだと認めたことで

今までの張りつめていた気持ちがふわっと解放され

言い方は悪いけど、もう!こんなに好きでしかも

両想い。ここまで来たら委ねちゃっていいよねっ!

って気持ちになるんだから不思議だ。
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