あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「……私も元彼のこと忘れたい」

「あぁ、忘れさせてあげる」


そう言って松谷課長は少し屈むと、触れるだけのキスをした。


そうして私たちはホテルを出た。


「じゃあ、気を付けて帰るんだよ」

「はい、松谷課長も」

「うん。あ、そうだ。LINEやってる?」

「え?あ、はい」

「じゃあ、教えてくれる?」

「え。でも交換して、いいんですか…?」


だって、もし万が一奥さんに見つかったりしたら…。


「大丈夫だよ。LINEは個別に音消せるでしょ?」

「あー…そう、ですね」


聞いた私がバカだった。音だって消せるし、読んですぐに消去すれば証拠は残らない。


名前だって変えられるし、うん…聞かなきゃ良かったのかも。


「じゃあ、連絡するよ」

「…はい、おやすみなさい」


今度こそ、私たちは駅前で別れた。


これから私は抜けられない生活を送ることになる──


< 44 / 99 >

この作品をシェア

pagetop