あなたの愛に深く溺れてしまいたい
私が黙っていると、前田ちゃんが力なく笑った。


「ごめんなさい、無理に聞こうなんて思ってないんです…。ただ、先輩が苦しんでるなら助けになりたいなって思って……」

「……ありがとう、前田ちゃん。私、前田ちゃんのこと、ただの後輩として仲良くしてるわけじゃないよ。前田ちゃんのこと信頼してるし、これからも信頼してるよ。だからこそ前田ちゃんのこと大切にしたい」

「先輩……」

「前田ちゃんのこと大好きだから、失いたくないの。それにこれは、私が自分で乗り越えなきゃいけないことだから、もうちょっとだけ待っててもらってもいいかな…」


登俊のこと、忘れられるまで…。きっと登俊のことを乗り越えたら、松谷課長からも卒業できるはず。


あの時から数日。松谷課長から連絡があって、彼に合わせて仕事帰り、また身体を重ねてしまった…。


二回目も戸惑いながら、松谷課長に抱かれた。


だけど抱かれてしまえば、気持ちのコントロールなんか出来ない。


二回目のえっちは、気持ちいいとさえ、思ってしまった。


私はいつ、松谷課長から卒業できる…?


いつか前田ちゃんに話せる日が来るの…?


そんなことを思いながら、午後からの仕事を再開させた。


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