あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「こんなに可愛いのに。どうして振っちゃったんだか。もったいないね」

「か、可愛いだなんて…。お世辞でも嬉しいです…」


松谷課長は腕枕をして、あいてる方の手で髪を撫でてくれた。


松谷課長の手は、すごく温かくて触れられた場所がポカポカする。


「お世辞なんかじゃないよ。とても可愛いよ、雪乃ちゃんは」

「ありがとう、ございます…」

「さて、と。明日も仕事だ。帰ろうか」

「はい…」


だけど、この瞬間が嫌だったりする…。


こんなことをしといてなんだけど、結局松谷課長は奥さんの元に帰ってしまうんだ。


もちろん私たちに気持ちはないし、当たり前のことなんだけど、一人になった途端、急に寂しさが押し寄せてくるんだ。


「あれ。今日は嫌だって顔してるね?」

「えっ、そ、そんなことは!」

「一人にされるのは、寂しい?」

「……それは、はい…」

「そう」


松谷課長は頷くと人差し指を顔の前に持っていき〝シーッ〟と、ポーズを取ると、どこかに電話をかけ始めた。


「あ、俺だけど。今日どうしても帰れなくなったから。うん、朝方には帰るよ。じゃ」


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