あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「それって男絡みですか…?」

「えっ…」

「あ。やっぱりー!先輩、彼氏が出来たとかですか?あ、でも悩んでるんだから片想いですかね?」


どうしよう…ここまで来たら言うしかない?でも、なんて言う?


〝実は不倫してるの〟なんて、言ったら前田ちゃん、どんな感じになるんだろう…。


「お。今日は春野さんは唐揚げ定食か!」

「高梨部長!」


私がどう言うか悩んでいると、突然頭上から高梨部長の声がして、慌てて顔を上げると笑顔の部長と隣には会いたくない柴咲課長がいた。


「また満席でな。相席、いいだろうか?」

「あ、はい。もちろんです。ね?前田ちゃん」

「はい、今先輩の隣移りますね!」


私が前田ちゃんを見ると、笑顔で頷いた彼女は親子丼を移動させると私の隣にやってきた。


「すまないね、なにか真剣な話をしていたようだが大丈夫だったかい?」

「あ、そうなんですよ。先輩の恋愛相談です!」

「ちょ、前田ちゃん?!」

「やっぱり女性は次の恋が早いなぁ。男なんか、ずっと引きずる。なぁ、柴咲?」

「俺を巻き込まないでください、部長」


前田ちゃんにバラされて、どうなることかと思ったけど、高梨部長は深くは聞いてこなかった。


今、ここで根掘り葉掘り聞かれても、答えられないし、このまま普通にしてようと思い何気に正面を見ると私のことを睨みつける柴咲課長と目が合った。


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