⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
寝室を別にするだなんて、かつて一度もなかった事態だ。


「…燈子……一体どうしたんだ。
きちんと話合おう」

必死にムスコの口封じをしようとしている彼女の腕をやっと捕まえると、俺は彼女に問い掛けた。


「最近、キスを避けてるよね?
……どうして?」


「………」
彼女は辛そうに顔を叛け、うッとえづいて口元を押さえる。

「昨日も…その前も。今日は玄関先にさえ出なかった」

口元を覆い、黙り込む。

「なあ、燈子?
隠し事はナシにしよう。
俺が云うのもアレだけど…
俺達は知ったばかりじゃないか。
黙っていればいるほど、誤解が誤解を生み続けて、結局ろくなことは無いんだ」

迷いの末。
やっと聞こえるくらいのくぐもった声で彼女が返事をした。

「……でも…アキトさんが……きっと傷つく…」

な、何だ⁉
マサカ…他に惚れた男でも出来たとか…

いや、それでもいい。

俺は、惑う彼女すら丸ごと愛せる自信がある!

俺は力強く彼女の両肩に手を載せた。
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