⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
ええいっ。躊躇うな!
家じゃいつもそれ以上じゃねえか。

俺は、ピタリと歩みを止めた。

“おや?”
と不思議そうに見上げ、合わせて立ち止まる燈子。

俺は思いきって彼女の肩を抱き寄せた。

「いっ?…ち、ちょっと?」
「風が冷たい…離れるな」

彼女の手を取り、左の腕に巻きつけてから微笑んだ。

「これで万全だ」

「秋人サン…コレ、運動には…ならなそうです」

憎まれ口を叩きながらも、燈子はピッタリ身を寄せる。

思わず公然猥褻に及びたくなる本性に耐え、俺達は再び緩やかに歩き出した。

……周囲のイタい視線を無視し、肩寄せあって腕を組む。
比類なきバカップル、大神夫妻。
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