⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
「で?…その、ゲホッ。
何故俺がち、父親だと……話からすると、候補は複数人おられるようデスが?」

彼女はポッと頬を赤らめた。

「やだぁ、ヨソヨソしい。
…もう、他人じゃないんだから」

「他人だ!」
思わず声を荒げると、彼女はウルウルと瞳を潤ませた。

うっ、女のそういう目にはヨワイ。


シラケっぱなしの燈子から故意に目を逸らし、とうとう俺は、触れたくはない核心部分に迫った。

「……で?要するに、君の望みは何なんだ⁉」

「…任せてくれって、言ったでしょ?こんな私だもん。実家にはとうに勘当されてるし、行くとこないのよね……」

「ま…マサカ。
認知しろ、とか?言っとくけど俺は…」

ゼンゼン認めてないからな!
話じゃ複数候補があるみたいだし…
万一何かのマチガイがあったとしても、俺が子供の父親だという確かな根拠は何もないんだ。


その時の俺は、よほど怖い顔をしていたのか。
察した彼女は、笑いながらバシバシと肩を叩いた。

「やだぁ、サスガにそこまでは言わないわよぉ。
子供が生まれるまでね…取り合えずここに置いて欲しいのよ。いいよね、パ~~パ?」

「じ…」


冗談じゃねぇ‼
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