紳士的な狼の求愛

「手を離してください」

「また会ってくれる?」

「男性のお取引先様と個人的にお会いすることはできません」

「話をするだけ。ダメ?」

「ダメです」

「俺は営業じゃない。直接取引に影響しない」

「せっかく御社と弊社の取り組みが強化されようとしている大事な時です。お互い看板がある以上は、控えるべきだと思います。あなたのためにも」

有馬くんはため息をつき、真剣な表情を崩した。

……勝った。
……ほっとした。


「……すげー。ほんとにかたい。御社の女性バイヤーはガードが鉄壁、ってきいてたけど、ほんとにガチガチだな」

「……なんですか、そのありがたい評判」

「じゃ、仕方ない。メールならいいだろ? 純粋に同級生として。メアド教えてくれたら、手を離す」

笑顔での懐柔、落とし所の提案、取引条件の提示。

さすがだ。


……突っ撥ねられなかった。








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