花京院家の愛玩人形


心当たり。

それが正解なら、襲撃者が逮捕されても意味がない。

凶行に及ぶヤツは次から次へと現れるだろうから。
そしてその誰もが、動機としてダークファンタジーを語るだろうから。

目のない人形に言われてヤりました、と。

そんなん警察も頭抱えるわ。

そう。
心当たり、それ即ち『アレ』

『アレ』なら、ただチョロチョロと動き回るだけで非日常に慣れていない一般人を恐怖のドン底に叩き落とし、正常な判断力を奪うことも容易だろう。

『おまえは助けてやるから』と唆し、指定した人物を襲わせることも可能だろう。

言ってたもんね?

諦めない、とか。
他にいくらでも手はある、とか。

で、そーきやがりましたか。

コソコソ暗躍して刺客を仕込んで放ち、自分自身は高みの見物ときやがりましたか。

クレバーか。

刺客が増産されて、団体様でヒャッハー☆とおいでになったらもう…

お手上げじゃねーの。

だからと言って『アレ』と『アレ』の刺客に見つからないドコかに、紫信を閉じ込めて隠すことはできない。

てか、したくない。
たとえ守るためであったとしても。

再び世界から隔絶するために、信太郎という名のガラスケースから彼女を連れ出したワケじゃない。

となると、コチラの策はたった一つ。

早急に、直接対決に持ち込むことだ。

最初の刺客となった兄貴似のカッパから、『アレ』の居場所なり出没地点なりを、無理矢理にでも聞き出して。

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