きみに、好きと言える日まで。

償い


【耀太】




次の日曜日。


広瀬さんの家に、親父と揃って招かれた。


入院中も何度も顔を合わせ、

今では毎日送り届けているから、彼女の母親に会うのは今ではそれほど緊張しなくなっていた。


初めは鬼でも見るようだったその目も、彼女に笑顔が戻っていくに連れ、和らいでいったように思える。


送り届けた時には「お茶でも飲んで行って」と中へ促されることもある。



「こう言ったらなんだが、耀太君のおかげで、娘も以前のような明るさが戻ってきてね、私達も安心しているんだ」



父親は、高級そうな皮のソファに深く背をつけた。


父親の方は……まだ少し苦手だ。

いつも秘書が張り付いていて、何か言おうものなら、まず秘書が割って入る。


強面で貫禄があって、逆らえない雰囲気が漂っている。


今日みたいな日にも、例外なく秘書がいる。


それがこの家では当たり前でも、俺達からすれば、第3者がいることは余計に居心地が悪かった。

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