きみに、好きと言える日まで。


───トクン。



あたしの知っている耀くんの手。


心の中に閉じ込めた想いが、次々と溢れてくる。



距離がもっと近づく。

耀くんの顔が、だんだん黒い影を帯びる。




……っ。

あのときと一緒。


キス、される。

本能で感じた一瞬。



本当だったら



この目も


この声も


この手も




そしてこの唇も……。






………だけど





「……ダメッ……」




近づいた距離を離すように、顔をそむけた。



耀くんは広瀬さんと………。



耀くんは、広瀬さんの耀くんでなくちゃいけない。





「……まひ」



それでも、耀くんはあたしの名前を呼ぶ。


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