きみに、好きと言える日まで。
「申し訳ない……」
何度呟いても足りない。
紗衣の顔を見るたびに、この言葉がまず浮かぶ。
"彼女"として隣にいても、同じだ。
保健医が戻って来るまで向こうで待っていよう。
そう思い、カーテンを閉めようとした時
「行かないで……」
細い声と指が、呼びとめた。
カーテンに添えた俺の手に、しっかり紗衣の指が繋がれていた。
……っ。
一度強張らせた顔を元に戻し、その顔を覗きこんだ。
「……大丈夫?」
「ごめんなさい。迷惑掛けて……」
体を起き上らせた紗衣に並ぶように、俺もベッドへ腰かけた。
「この間ね、前の学校の友達から電話があったの」
なんの繋がりもない話題を、突然楽しそうに振ってきた紗衣。
こんなことは初めてだった。
どういう心境の変化だろうと、首を傾げる。