唯一の愛をキミに【完】
自分勝手だと思うけど、


「悪い、由香里。俺行くよ」


「うん。わかった。早く行きなよ。唯ちゃん、まだそう遠くは行ってないと思うから」


「サンキュ」


そう言うと同時に走り出した。


由香里とふたりきりなんて、俺にとっては大チャンスだ。


でも、気付いてしまった。


唯と一緒にいて心が落ち着くのも、自然体でいられるのも、


唯が他の男と一緒にいるときのあの苛立ちも、


唯を独占できたときのあの喜びも。


俺は、ひとりの女性として唯のことが好きなんだ。
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