花盗人も罪になる
「そういえば、4人そろうの久しぶりじゃない?」

「ここ何年かずっと綾乃が妊娠、出産、育児でバタバタしてたからね」

「そうだったね。今日は旦那さんが子供たち見てるの?」

「旦那一人じゃあの子達の子守りは無理だから実家に預けてる。両親と妹が面倒見てくれてるから、今日は安心してゆっくりできるわ」

毎日の怒濤の育児から解放されて、綾乃は清々しい顔をしている。

「旦那さんは?」

「さあ? うるさい嫁も子供たちもいないことだし、一人で思いっきり羽伸ばしてるんじゃない?」

綾乃がなにげなく言った言葉に、紫恵はまた今朝の逸樹との喧嘩を思い出して肩を落とした。

逸樹は今頃どうしているだろう?

逸樹もうるさい紫恵がいなくてせいせいするなんて思っているんだろうか?

「羽伸ばしてるって、パチンコとか?」

春菜が尋ねると、綾乃は眉をひそめて小さく息を吐き出した。

「どうせ職場の若い女とイチャイチャしてるんでしょ」

綾乃があまりにさらりと言うので、紫恵は思わず耳を疑った。

「えっ? それって……」

「職場の後輩と浮気してんの、うちの旦那」

「綾乃……それ知ってるのに何も言わないの?」

「所詮遊びでしょ? たまに相手変わるみたいだし」

「ええっ?!」

紫恵も春菜も圭も、それには思わず絶句した。


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