花盗人も罪になる
紫恵は希望が手にしている小さな茶色い犬に目を留めた。

「あれ……?」

希望はさっきまでそれを持っていなかったはずなのに、一体どうしたんだろう?

紫恵は見覚えのある小さな茶色い犬を見て顔をしかめた。

「ねぇ、ののちゃん。そのワンちゃん、新しいお友達?」

紫恵が尋ねると、希望はままごとの手を止めて顔をあげた。

「うん、りぃちゃんだよ」

「それどうしたの?」

「公園でかおちゃんにもらったの」

なるほど、見覚えがあると思ったら、昨日香織が手芸教室で作っていた羊毛フェルトの犬のマスコットだ。

「公園で香織さんに会ったの?」

「かおちゃんといっくんと一緒にりぃちゃんのお散歩したんだよ」

紫恵は少し首をかしげながらゆっくりと逸樹の方を向いた。

「香織さんといっくんとりぃちゃんのお散歩って……?」

「先週公園で偶然会って、りぃちゃんって名前の犬の散歩を一緒にしたんだ。ののちゃんがもっとりぃちゃんと遊びたいって言うから今日も来てくれて、さっきも一緒に散歩したよ」

逸樹がそう言うと、先週は何も言わなかったのにと紫恵は眉間にシワを寄せた。


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