初めての相手は無愛想上司


親も兄弟もいない私に
帰る場所なんてない

マンションを出る勇気もない私は
ゲストルームに閉じこもった
陽子か、小山課長のお母さんくらいしか使ったことのない部屋
けど、ベットもいつでも使えるようにしていて良かったと思った

声を殺して、なみだが枯れるまで泣いた
嫌味を言ってしまったことを
激しく後悔したが、済んだことだ
もう、どうしようもない…



コン、コン
ドアがノックされたが返事をする気にはなれず、黙っていた
ドアにもたれかかるように座っている私
ドアを開けることは出来ない


「小夜」


呼ばれたが、返事はしない
呼ばないで欲しいとすら思っている


「聞いてくれ。一度だって小夜を誰かと間違えたこともないし、誰かの代わりにしようとも思ったことはない」


私だってそう信じたい
けど、信じるには不安要素がありすぎ
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