初めての相手は無愛想上司
『やっ……やめて、』
ヌメッとしたものが耳に触れた
触れるたびに電気が走ったみたいな
感覚になり、どうしていいかわからない
「お前は俺の女だ」
そう聞こえたと同時に
首がチクっとした
ポーンと音がし扉が開いた
何事もなかったかのように
小山課長は箱から出て行った
なっ……なんな、の
返そうとした鍵は手の中
断ろうと決めていたのに
俺の女だと断言された
どうしたらいいんだ
放心状態でいると
エレベーターが動き始めた
B1と押されているボタン
降りるとき律儀に押してくれたのだろう
要らぬ世話だ
どうしてそこまで私にこだわるのか…
これからどうしよう
陽子に相談しようか、
けど、試しに付き合えと言っていた
そしてアウディも同じ意見だった
けど、私の中で
それは限りなく無い