初めての相手は無愛想上司
幼い頃に離婚した私の両親
仕事人間だった父
親権は母が持ち
養育費は毎月、払われる約束で別れた
浪費癖がある母は
その養育費を自分のために使い
私の世話は祖母に任せっきり
けど、祖母と2人の生活は
私には快適で幸せだった
それが10年、
その10年で母は別の男と再婚した
私はいつの間にか母の子供ではなく
祖母の子供になっていて
いつの間にか、母に捨てられていた
高校を卒業する少し前
小夜、と呼んでくれたのは
10年前、別れた父だった
怖ばった顔にスーツ姿の面影しか
残っていなかった父は
目尻が下がり、白髪交じり
ダンディなおじ様に見えた
恥ずかしさもあったが
父が私に会いに来てくれた事が
何よりも嬉しくて
数時間だったけど
父との時間を楽しんだ
それが父との最後の時間になるなんて
その時の私は全く思ってもいなかった