憑代の柩
「復讐のために、わざわざ別人になったというより。

 新しい人生のために、別人になったついでだったんじゃないでしょうか。

 顔もまた変えるつもりだったのかも。

 でも、復讐の相手に、要先生じゃなくて、貴方を選んだのは、もしかしたら、最初から好みだっただけなのかもしれませんね」

 姉妹で似てるんですかね、好みが、と言うと、呆れた顔をしていた。

 そのまま止まっている衛を見上げ、

「いいから、早く仕事に行ったらどうですか」
と言うと、

「だから、お前が引き止めたんだろうがっ」

 とうとうと推理を聞かせてたのは誰だっ、と怒鳴られた。 

 玄関に向かう衛を見送る。

 手を振りながら、
「新婚さんみたいですよね、こうしてると」
と言うと、衛は怒ったように出て行ってしまった。

 閉まった扉を見ながら、
「こういうところは、本当に可愛くないな」
と呟いた。




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