憑代の柩

 

 うわっ。
 くっきり痕ついてるし。

 ほんとは霊じゃないんじゃなかろうか、と思いながら、朝日の中、鏡に首を映してみる。

 ついでに、廊下の隅に向かい、話しかけた。

「ねえ、あの霊、誰だか知ってます?」

 しかし、そこにしゃがんでいる男は何も答えなかった。

 霊にも、ひきもりって居るのだろうか。

 何か訴えたいことがあるから、この世に留まっているのだろうに。

 この人、全然、しゃべらないな、と思ったとき、チャイムが鳴った。

 はいはいはい、と適当な返事をしながら出ると、そこに居たのは、衛ではなかった。

「おはよう」

 あまり爽やかでない口調でそう言ったのは、要だった。

「おはようございます。
 どうなさいました?」

「そこまで私に改まる必要はない。

 ところで、どうした、その首は」
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