俺様上司と身代わり恋愛!?


「恩田さんがいないから直接注意させてもらうけど、これはあくまでも仕事上の先輩としてする事だから」

そう前置きしてから、言う。

「今野さんが私の事気に入らないならそれでいいよ。嫌いなら嫌いでいい。
だけどここは職場だし今は仕事中だよ。そこに私情を持ち込むのは仕事の妨げにしかならないからやめて欲しいの。他の人にも迷惑にしかならない」

私が今野さんの態度をハッキリと注意したのが初めてだったからか、今野さんは驚きから目を見開く。
きっと、どんな態度をとったところで、私はなにも言い返さないと思っていたんだろう。

今言った事は、常々思ってはいた事だけど、私が我慢して済むならそれでいいと思ってわざわざ口にする必要はないと思っていた。

だけど、私と今野さんの関係のせいで、周りの人が居心地悪くなったり、課長まで注意すると言ってくるのなら話は別だ。

私がきちんと向き合う必要がある。
今までの元彼との事は、あくまでも私と元彼、ふたりだけの問題だったから何も言わなかったけれど……。
それとこれは違う。

今は、仕事なんだから。
ハッキリ言うのは苦手だからとか、そんな事言ってちゃダメだ。

何度も何度も気をかけて、私に今野さんとの間は大丈夫かって聞いてきてくれた課長のためにも、ちゃんとしないと。

そう思い、視線にぐっと力を込めた。
いつも通り周りからは視線が集まり、その中には課長もいた。

「津山様はご高齢だったから、多分、私たちが普通に使ってる言葉じゃ難しくて余計に慌てちゃったんだと思う」

今の電話で、今野さんの言葉が津山様に届かなかった理由を教えてから「昨日、今野さんにはエゴだって言われちゃったけど」と、続けた。




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