俺様上司と身代わり恋愛!?
「女は好きだけど、プレゼントとか金のかかったモンもらったら後が面倒だろ。
なんか、マーキングされた気分になってすげぇ嫌になる。だから絶対受け取らない」
まず、『女は好きだけど』っていう前置きにもびっくりしたけど。
後半に続いた言葉にも驚く。
マーキングって、犬猫の話じゃないのかな。
「桐崎課長って、女が好きなんですか? あ、必要以上にって意味で」
聞きたかったのは、女好きだとかタラシだとかなのかという事。
まぁ、この見た目からして、きっとモテるだろうし。世間一般的な三十代男性よりは経験多いかもなぁ程度には思っていた。
けど、世間一般的な成人男性は、恐らく自ら女が好きだとは発言しない。
だからこそ、そんな事をまるで当たり前のように、前提のように言われて引っかかったんだけど。
桐崎課長は悪びれるわけでもなく平然とした態度で「必要以上にって意味で」と肯定した。
「それはつまり……女の敵的な意味合いで?」
「まぁ、そうかもな。ちゃんと付き合わないでふらふら遊ぶのが好きだから」
「ああ……さっき言ってたマーキングの件ですか?」
そういえば、そこにも引っ掛かりを感じて驚いたんだった、と思いだし聞くと、桐崎課長は「そう」と頷いた。
「恋人って関係になった途端、我が物顔で俺の生活に入り込んでくるヤツが苦手なんだよ。
頼んでもないのに身の回りの世話したり。そういう事されると、どんどん鎖で繋がれてってる気分になって息苦しくなる」
「だから、ふらふらと?」
「お互い納得した大人の付き合いってヤツだな……っておい。なんで耳塞いでんだよ」
そっと手をそれぞれ耳にあてるとすぐにツッコまれたから「すみません、ちょっと……」と言葉を濁したのに。
「なんだよ、はっきり言え」
命令されて、仕方なく理由を説明する。