俺様上司と身代わり恋愛!?
「もしかして桐崎課長、逆玉狙ってるとか?」
「逆玉?」
さっきから名前が出ている早乙女美絵は、大企業と言っても問題ないレベルの早乙女不動産の一人娘だ。
「美絵の家お金持ちだからそれでかなと。
桐崎課長、いつもちゃんとしたブランド物を身に着けててカッコいいって総務課の人がきゃっきゃ噂してましたし。
そういうのを買い揃えるのにお金が必要だから逆玉狙っ……いっ」
課長が伸ばした手をなんだろうなと思って眺めていると、びしっと脳天に落とされる。
いわゆるチョップだ。
「パ、パワハラ……」
別にそこまで痛かったわけでもないし、課長だっていい大人だから本気で振り下ろしたわけでもない。
だけど、普通の上司と部下の関係ではあまり……というか、通常ありえない攻撃をくらって、驚きながらパワハラを訴えてみたものの。
課長は「今は社外だ。俺とおまえの間に社内におけるような関係は発生してない」と、鼻で笑った。
「えっと……って事は、私もフランクにタメ口で話していいって事……」
「いいわけないだろ。上司に向かってどういうつもりだ」
「……継続中じゃないですか。社内での上下関係」
屁理屈こねないでください、という言葉を、課長の厳しいまなざしに呑み込んだ。
かわりに、「あの……」と、課長に聞く。
「私、今、なんでチョップされたんでしょうか」
「俺の事をしょうもない男みたいに言うからだろ。俺は女に貢がせたりした事は一度もない」
「はぁ……」
たしかに少し失礼な発言だったかな……と思っていると、とんでもない発言をされる。