恋することを知った恋

ステージには大きな花が何個も飾られていて、その下では吹奏楽部の部員たちが楽器を持って座っている。

まだ着慣れない制服に身を包んだ新入生は、静かに式に参加していた。

この頃のあたしは本当に何も考えていなくて、友達ができるかなんて心配をしたこともなかったし、逆に友達を多く作ろうとワクワクしたこともなった。

だから恋愛なんてもってのほか。

好きな人も作ろうとしなければ男子生徒とは会話もしないし、ただあたしの時間を楽しむためだけに毎日を過ごしていた。



でもそこで、麻奈美との出会いが待っていた。
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