君の香りは何処か懐かしい香り
「ねぇ、あのさ聞きたいことがあるんだけどいい?」

急に隣の席から木ノ崎かるま君が話しかけてきた。

「いいけど、どうしたの?」

「朝、2年生の男子と走りながら一緒に登校してきたよね?」

「うん。したけどそれがどうかしたの?」

「いや、それ俺の兄ちゃんだからさ、少し気になって」

「なるほど!でも木ノ崎先輩は、私の事を助けてくれたんだ!自転車から!」

「へー。で、君は兄ちゃんの彼女?」

「ち、違うよ!今日会って助けてもらっただけだし!」

「ふうーん」

それだけ言ってそっぽを向いた。
一体なんなんだ?

「はあーい!みんな席につけー」

先生が教室に入ってきた。

「まずは、自己紹介から」

「えっと、赤羽悠人です!よろしくお願いします!」

パチパチパチ

出席番号順でどんどん進んでゆく。

そして木ノ崎かるま君の番がきた。

「木ノ崎かるまです。彼女はつくる気さらさらないので告ってきても無駄です。
えっと、友達としてよろしくお願いします」

それだけで女子達は、また惚れ直しているようだ。

私は何とも思わないが。

ついに私の番がきた。

「神崎優希です。中学は田舎で、卒業してからこっちに引っ越して来ました。都会暮らしは初めてなので色々と教えてくれれば嬉しいです。よろしくお願いします」

普通の自己紹介をしたつもりだったが、何人かはコソコソと話している。

そんなに私、変なこと言ったかなー?

んー?都会の子はよく分からん。

朝の学活が終わり、男子何人かに話しかけてきてくれた。

ほとんどが、連絡先教えてだったけど。

友達にはなってくれなかった。

「私達ともメアド交換しよー!」

美咲達がカバンの中から携帯をだして通信をした。

女子と連絡先交換するのなんか初めて!

ついつい浮かれてしまった。

「あ、あの!お願い事があるの!」

私は勇気を振り絞って美咲達に言った。

「私と友達になってくれませんか!?」

「「「‥‥‥‥‥。」」」

何故か3人共口を開けている。

ポカーンと。

「ぷっ!」

すると美咲が急に吹き出して

「もう!友達だよ!」

と、言いながら爆笑している。

他の二人も。

ていうか、クラス全員が。

「ヤバイ!腹いてー!こんなの初めて見たー!」

と、言いながら机をバンバン叩いてる男子がいた。

ちょっと笑いすぎなのでは?

しまいには木ノ崎君にも

「おまえって馬鹿なの?」

と、馬鹿にした言いかたをされた。

「ヤバイね!天然かこれは!?」

美咲もさっきの男子と同じく机をバンバン叩きながらまだ笑ってる。

みんなして失礼すぎると思う!!

「あのね、私と友達になってください!何て小学生じゃないんだからさー!
てか、小学生でも言わないよー!もう、連絡先交換した時で、もう友達だから!」

「そ、そうなの?私、よく分からなくて」

「今まで友達いなかったわけじゃなかったんだからさー!」

「‥‥‥。」

本当の事を言われたから黙ってしまった。ついつい。

「え、うそ。いなかったの?」

「うん‥‥。1人でした」

下を向きながら言ってしまった。

「うん。そっかー!じゃあ、私達とたくさん楽しい思い出をつくろうじゃないか!」

美咲はそういい、背中をバンバン叩く。

地味に痛い。

「中学の時なにがあったのかは知らないが私達は昔のことなんて知らないんだから!!ねっ!」

「うんっ!がんばる!」

「何を!!?」

クラス全員に言われた。
< 6 / 14 >

この作品をシェア

pagetop