追いかけっこが、終わるまで。
しばらくぼーっとしているうちに、ピンポン、とチャイムがなった。

チェーンを外して、ドアを開ける。

はい、と見慣れた大きな仕事鞄が差し出される。

「ごめんね、重かったでしょ、えーと、お茶でも飲む?」

事前に考えておかなかったから、たどたどしい誘い方になった。



「いいって。寝とけよ」

そう言ってから、思い直したように誘われる。

「ちょっと出られるならさ、なんか食いに行く?」

「またカフェでもいい?近くに気に入ってるところがあるの」

そう聞くと、もちろん、と笑ってくれた。



今日もよく晴れてる。

当たり前のように手をつながれて歩きながら、気になっていたことを聞く。

「昨日ね、なんか変なこと、言った?いろいろ喋ってたって、なんだった?」

見ないようにしてる隣から、ククッと喉の奥の笑い声が漏れる。

「全然覚えてない?」

「…はい」


何だろう、仕事の話じゃないよね。

長谷川先輩の話かな。笑われるようなことあったかな。
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