だから、俺にしとけよ。
そう思ったけど、なぜか子犬みたいでかわいいと感じてしまったから。
私もそこまで根に持ちたくないし。
「いいよ」
「ほんと!?」
「うん」
「チョロいな」
「えっ!?」
私の手に自分の手を重ねて、真っ直ぐに私を見たと思ったら不敵に微笑む。
……許すんじゃなかった。
だってひどいよね?
チョロイなって。
もう入谷くんやだ。
心の中で文句を言いながらも、重なった手にドキドキしている自分がいる。
触れてる部分から熱が全身に伝わる。
「顔赤い。
こんだけで照れてるの?
昨日キスしたのに」