だから、俺にしとけよ。




「今井、ありがとう」


「え、あっどういたしまして」


「もう持ち場戻っていいから」


「え、でも……」



歩美ちゃんはこの尋常じゃない空気を感じたのか、私をチラッと見る。


本当は私もこの場から逃げ出したいけど、きっとそういうわけにはいかない。



今は逃げてはいけない時だと直感で思った。




「歩美ちゃん、ありがとね」


「うん、じゃあ行くね……」


心配そうな表情で私を見てから、ゆっくりこの場を去って行った。


その瞬間京ちゃんが近寄ってくる。



無表情で真っ直ぐにこちらを見て。



そのまま私の腕を掴んで、引っ張られて入谷くんと無理やり話される。


椅子がガタンッと倒れる音が響く。




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