だから、俺にしとけよ。
急に耳元で声が聞こえて、叫びながら振り返り身構えた。
お店の明かりで照らされたそこには、ポケットに手を突っ込んだ入谷くんの姿。
「なんだ、入谷くんか。
おどかさないでよ、バカッ!」
「ははっ、ごめんごめん。
怖いかなって思ったから家まで送ろうと思って」
「さっきの方が怖いわ!」
心臓がバクバク鳴っている。
本当にびっくりした。
夜道でこんなの危険すぎる。
「って、いいよ送らなくて」
「伊都ちゃんを1人で帰らせるのは俺が許さないから」
そう言って、私の家の方へ歩き出す。