悪魔なCEOとワガママお嬢様
悪魔の棲家
首都高を走る車の中…

「………」

(もう30分以上も無言じゃない…別にこんな奴と話したいって訳でもないけど…)

密閉された車内で会話も無く ただノートパソコンのキーボードを叩く音だけが響いてる。

着物のせいもあるだろうけど、なんだか息が詰まる…チラっと右隣を伺うとパソコンの画面を見る横顔。

(黙っていれば芸能人だって逃げ出すくらいパーフェクトなのに…喋ると悪魔だった…)

これがギャップってやつ?




「そんなに見るな 気が散る」

「?!」

見られてるの気付かれてた?!
目は合ってないはず…
それにしてもやっと喋ったかと思ったら邪魔者扱いって…

「べ…別に見てないわよ!それより後どれくらいで着くの?」

「………」





無視?!
話し出したのは私じゃないのに!
そっちがその気ならこっちだって…

「あと15分程で到着いたしますよ」

険しい顔で隣を見てると不意に助手席に座る男が言った。

「あ…そうなの?えっと………」

「秘書の橘です」

「橘…さん…ありがと」

"いえ"っと応える橘は隣に座る悪魔とは正反対に優しい声だった。
気を良くした私は隣は見ない様にして橘さんに話しかける事にした。

「それにしても橘さんも大変だね こんな人の秘書なんかやらされて」

橘の「え?」という声と同時に隣から視線を感じたけど無視してやる。

「だってとんでもないじゃない?」


「………」




(あれ?何で返事がないんだろ?)

「ねぇ…「ハァ…うるさい 仕事に集中できないだろ 黙って大人しく座っとけ」

(なっ?!ため息?!)




「あ、あんたに関係ないじゃない!私は橘さんと話してるんだからそっちこそ邪魔しないで」
< 11 / 20 >

この作品をシェア

pagetop