未熟女でも大人になっていいですか?
「賛成!私、こう見えてお料理は大好きなの。食いしん坊だから」


「僕も食べるのは好きです。甘い物以外なら好き嫌いもないし」


「じゃあお弁当は私が用意します」


「お茶は僕が担当しよう」


弾むように会話しながら歩き始めた。

バス停を二つ分程歩いてバスに乗り、家に帰るとーーー





「姉さんチーズケーキの味はどうだった?」


妹の桜がニコニコしながら寄ってくる。


「あ…すっかり忘れてたわ!」


「ええーーっ、どうして!?」


後ろを付いて来ながら「楽しみにしてたのに……」と嘆く。


「ごめんね、お会いした人と話し込んで忘れてしまってたの」


「お見合いの人、そんなにいい人だったの?」


疑わしそうに見つめる。


「そうね……あの人となら私、結婚してもいいかな…って思うくらい素敵だったわね」


「えー…いいなぁ。桜もそんな人紹介して欲しい」


「えっ!?桜はダメよ!」


「どうして?」


まさか父の知り合いではなかったなんて言えない。

誤魔化すつもりで言った言葉を、桜はこの先もずっと信じ込んだ。


「恋愛結婚の方が幸せになれるって聞いたことあるの。結婚相手は自分で見つけた方がいいのよ」


それは自分のことかもしれない……と話しながら思った。


そうかなぁ…と頭を捻る妹に笑いかけながら、次のデートには何を着て行こうか…と、1人胸の内でほくそ笑んだ。



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