未熟女でも大人になっていいですか?
狼の青年期
高速道路を飛ばして本州を後にする頃、時刻は午前9時を回っていた。


「望さん疲れない?運転替わろうか?」


九州に差し掛かる前から聞いていた。

けれど、高島の答えはいつも同じで。


「いい。運転していた方が気が紛れる」


こっちは退屈で仕方ないのに…と諦める。

CDを変える以外にやることもない助手席は想像以上に退屈だ。



「此処から後2時間程度の場所らしいぞ」


最後のパーキングエリアで休憩した時、高島は神社のある場所をインフォメーションで尋ねた。


「後2時間もあるの…?」


遷宮が行われている神社までの道程は必要以上に長い。

高島ばかりに運転を任せるせいか、最後にはウトウトと眠り込んでしまった。





「カツラ、起きろ。着いたぞ!」


うーん!と伸びをする高島の声にハッとする。

慌てて体を起こすと、既に車は広い駐車場に止められていた。



「ごめんなさい…つい眠ってしまって……」


早起きしたからは言い訳にもならない。

私よりも先に起きていた高島は、眠らずに此処まで運転したのだ。



「帰りは少しくらい運転させて。でないと望さんが疲れる」


「俺は別に平気だけどな」


軽くストレッチをしている。

この男の体力はまるで底なし沼のようだ。


「それでもさせて!私も運転させて欲しいの!」


折角取った免許を無駄にしたくないと訴えた。


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