ラブ アゲイン

あれ、濱田君と白鳥さんじゃない？あのふたりまだ付き合ってるのかな

え？結婚したんじゃないの？

まさか、私は別れたって聞いたけど…





中に入るなり、女子のネタにされているのがわかる。

「濱田君、手」

菜々は濱田を見上げながら、回された手を退けてくれるように懇願したが、濱田はそのまま奥へと進んでいく。


「おっ、来た来た！」

カウンター席を合わせても４０程の、あまり広くない店内の奥から、人懐っこい笑顔を向ける、どこから見ても間違いようの無い、当時と変わらない佐久間が、大きな声をあげた。


その後揉みくちゃにされた2人は、空いてる席に着いた。



「ご無沙汰しています、先生…」

菜々は直様田原に駆け寄り、空いてるグラスにビールを注ぐ。

「お〜白鳥かぁ、懐かしいなぁ、
１０年振りかぁ、いやぁ、綺麗になったなぁ」

ほんのりとピンクに染めた顔をクシャッと崩し笑顔を向けた田原に、遅れた旨を詫び、席に戻る。


「え〜、これで出席者全員揃ったわけでぇ、田原先生、起立願いまぁす」

佐久間が騒つく店内でパンパンと手を叩く。

「田原先生、お疲れ様でした。荷物になるけど」

副委員長の日下部が花束を田原に渡した。


「御前達、ありがとうな、
こんな嬉しい事はないなぁ、」

田原は声を詰まらせながら、ひとりひとり元生徒の顔を見た。