氷上のプリンセスは
「きっかけは簡単なことだったの…」
私とアルがアイスダンスのペアを組んだのは小学校3年生。
それまでは同じクラブで滑ってて仲のいい友達、って感じだったけどずっとソロの選手だった。
当時のアルは…というか、今は更に増してるけど、とにかく女子からの人気が凄かった。
パッチリな目に人懐っこい性格。
『もしもアイスダンスをするなら誰と組みたい?』
と先生がクラブの同い年くらいの女子に聞けば揃って「アルがいい!」と答えるくらい人気だった。
そんな中、ペアの相手に指名されたわけだからそりゃあもう風当たりは強かった。仲のいい子なんかは「いいなぁ」といいつつも応援してくれてたけれど、中には私を目の敵のように接してくる子もいた。
まだ小学生だと思って舐めたらいけない。女子なんてませてるし、将来の夢はオリンピック選手だと言っている子が多いクラブであるため周りには気の強い子ばかりだった。
話しかけても無視されたりなんてしょっちゅう。少し寂しくも感じたけど、そこまで仲良くない子ばかりだし仲良くなりたいとも思わなかったから特に気にしてなかった。
けど、その状況が変わる事件が起こった。
そもそも、私とアルはノービスの個人でそれなりに注目されていたのだ。実力もそうだけれど、私の場合は父親が、アルの場合は叔父がスケート界でも有名であったため余計に名前が知れていた。
そんな2人がペアを組んだのだから注目度は更に高まった。
『頑張ろうね!』
そして大会前日。
最終確認のために持ってきていた当日着る予定だった衣装がなんと…
ビリビリに破かれていた。