恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
は?

様って。

思わずビクッとして声のした方を振り仰いだ私は、そこに端正な顔を見つけて息を飲んだ。

「翔様からあなたを迎えに行くようにと仰せつかりました。こちらへどうぞ」

「……はい」

聞いてない。

聞いてないけど、この背の高い男前はどこか雪野先輩と同じような雰囲気を持っていた。

そういえば雪野先輩は、次期人狼のリーダーとかなんとか言ってたから、部下のような人がいても不思議じゃない。

「あちらの車にお乗りください」

私は路肩に停車中の車を見て頷いた。

沈み込むような質の高いシートに包まれた途端、車は発進した。
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