恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
やだ、やだ!!

死ぬなんて、嫌っ!!

怖くて無我夢中で、私はジタバタと暴れた。

今まで生きてきて、こんなに恐ろしいめに遭った事なんか一度もない。

恐い。死にたくない。

眼から涙が溢れて、全身がガタガタと震えた。

そんな私を翠狼は面白そうに眺めていたけれど、やがて乱暴に指の腹で私の頬の涙を拭い取った。

「……待てよ……。ただ殺してしまうより、目一杯白狼を痛め付けてやるには……」

翠狼の瞳が怪しく光った。

彼の濃い緑色の瞳がより一層大きくなり、私の眼を捉える。

「……いいか。お前はこれから白狼の元に帰る。だが、白狼を今までのようには愛せなくなっていく。徐々に生まれる嫌悪感はやがて殺意に変わる」
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