恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
やだ、これって、テレビで見たことある。

も、しかして、私に…暗示……?

翠狼は、緑に光る眼で食い入るように私の瞳を覗き込んだまま、更に続けた。

「殺意が頂点に達した時、お前は油断しているヤツの耳を切り、ピアスを俺に渡すんだ。俺の花嫁になると誓った証しとして。それを見せつけた後、 お前は白狼を殺す」

嫌だ、暗示なんて私……。

「俺と話した事は忘れろ」

言い終えて数秒の後、翠狼は私から身を離した。

「面白くなりそうだぜ」

その時、けたたましい音が響いた。

驚いたのは私だけじゃなくて、私以外の四人が一気に気色ばんで、音のした入り口に素早く身体を向けた。

「クソッ、白狼……!」

大きくてキラキラと輝く狼が、ドアを蹴破りそこに立っていた。
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