恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
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「瀬里、里緒菜先輩が呼んでるよ」

志帆ちゃんが、瞳を不満げに光らせて私を見据えた。

「えっ……」

私の驚きを無視して、志帆ちゃんはツンとそっぽを向いた。

里緒菜先輩って、確か雪野先輩と同じようなピアスをした……。

理科室に向かおうと二階の渡り廊下を歩いていた私は、前方を見て凍り付いた。

だって渡り廊下の先の二校舎の入り口に、里緒菜先輩が立っていたんだもの。

それも足を肩幅ほどに開き、腕組みをして。

次第にバクバクと、心拍が上がる。

志帆ちゃんの言葉を聞いたクラスメイトや、通りすがりの生徒達がただならぬ雰囲気を察知して、私や里緒菜先輩をチラチラと見始めた。
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