恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
それと同時に先輩の全身が光り始め、人々が数歩下がった。

「見ろっ!天狼神の魂が……」

天狼神の……!?

霞む眼をこらしてよく見れば、どうやらその光は先輩の耳のピアスから放たれ、全身を包んでいるようだった。

先輩の被毛が逆立ち、光と相まって、プラチナ色にキラキラと輝く。

こんな状況なのに……ああ、なんて綺麗なんだろう……!

「見ろっ!白狼に天狼神様が降りてこられた!!やはり白狼は、人狼王だ!」

「白狼!」

「白狼!凰狼を倒せ!」

先輩が地を蹴り、唸りながら凰狼に飛びかかると、一瞬で彼の肩口に噛み付いた。

バキバキと骨の砕ける音が響き、凰狼の叫び声が上がる。
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