恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
治したって……傷痕が全くないんだけど。

起き上がろうとした私を見て、翠狼は少し笑った。

「白狼は会議だ。もう少し横になってろ」

「あのー、なんで翠狼が?」

「それはその……詫びだ」

は?詫び?

意味が理解できずに私が翠狼を見上げていると、彼は不自然な咳払いをしてから私を睨むように見た。

「だから、あれだ!あの日……お前に手を上げたから……」

あ……。

あの日って、先輩の家を飛び出したあの日、翠狼の屋敷に連れていかれて、地下で……。

私があの日の事を思い出していると、短い褐色の髪をガシガシと掻きむしりながら、翠狼は続けた。
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