恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
先輩、なんで。

男らしい先輩の顔が斜めに傾いて、唇が重なって……。

シトラスの香りと、先輩の熱い身体。

あまりにも甘いキスに思考がついていかなくて。

そんな私から、先輩がゆっくりと唇を離した。

「瀬里、瀬里」

堰を切ったように私を呼ぶ声と、切な気な眼差し。

そんな眼で、そんな声で、どうして私を………?

「……瀬里。愛してる、心から」

心臓が止まりそうになった。

先輩が私を見つめて、もう一度口を開いた。

「瀬里、俺はお前が好きだ」

幻聴かと思ったけど、私は今、先輩に抱き締められている。

本当なんだろうか。
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