恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「お前はめちゃくちゃ可愛い」

へ?私が?!

先輩、ホントに大丈夫?!

ポカンと口を開けたままの私に、先輩が再びキスをして続けた。

「……満月の儀式にお前を呼ばなかったのは、派閥がなくなり、その必要がなくなっただけのことだ」

あ……そ、そうだったんだ……。

私はホッと息をついて思わず呟いた。

「てっきり、誰か他の人が許嫁になったのかと……」

私がそう言うや否や、先輩は私を抱く腕に力を込めた。

「お前しかいない」

長めの前髪から、切れ長の眼が真剣に私を見つめる。
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