恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
先輩……!

嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない。

「ほら、泣くなって」

困ったように先輩はそう言うと、私の涙を指で拭った。

「瀬里、それでも俺の傍にいてくれるか?」

逞しい先輩の身体を間近に感じながら、私はしっかりと頷いた。

「先輩、月を観ましょう」

先輩が少し驚いたあとフッと微笑んだ。

「ああ……。今日は満月だ」

バルコニーから見たお月様は凄く綺麗で、そのプラチナ色の光を浴びた先輩は、更に素敵だった。

先輩、これからずっと一緒に月を観よう。

満月でも、三日月でも。

私は先輩に寄り添うと、その手をしっかりと握りしめて微笑んだ。
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