恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
お釣りを取り出そうとしたところで、

「ねえ知ってる?!雪野君、お弁当持ってきてたって」

「ええ?!マジ?!確か彼、父子家庭よね!?どんなお弁当だったの?!」

ギクッ!

「山下に聞いたら、ミートボールとタコさんウインナーが入ってて、いかにも女子が作りましたってヤツだったらしいよー!」

ぐはっ!

さ……刺されたような衝撃。

「きゃー!!じゃあじゃあやっぱ、非常階段で抱き締めてたとかいう、イマカノの手作り弁当!?」

「誰なのか、どうしても知りたい!学校一のモテダン射止めたのが誰か知りたい~!!」

射止めてねーよっ!

ただ単にお弁当作ってたら『俺の分も作れ』って命令されただけだっつーの!!

……怖い。

つくづく怖い、女子の情報網と嫉妬心。

そんな事言えるわけもなく、私は顔面蒼白のまま食堂を出た。
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