御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
彼は明るく、高校の頃からクラスのリーダー的存在で、どちらかといえば控えめな美月とはまるでタイプが違った。
だがお互いにないものを埋めるように、惹かれ合い、それから八年、うまくやってきたのである。
少なくとも美月はそう信じていた。
自分はいつか、この人のお嫁さんになって、この町でお母さんになるのだと信じて疑わなかった。
だが、彼の返事は違った。
「ずっと前から、お前に愛情はなかった。好きじゃなかった」
この日のことを思うと、美月は今でも身を引き裂かれるような痛みにさらされる。
美月の目を見ない、うつむいた彼の顔。
生気のない声。
“ずっと前から”自分は愛されていなかったのだと気づかされて、美月の心は粉々に砕け散った。
そして家族や親友の反対を押し切り、上京したのが三ヶ月前のことであり、運良く老舗寝具メーカー【KOTAKA】に採用され、創業者一族の御曹司であり副社長の、小鷹雪成の秘書として働き始めたのである。