初恋、でした。
そんな僕の耳に、届く、言葉。


「ちぃには、触れたら壊れちゃいそうな、そんな儚さがある。だから────」


────ちぃは、桜によく似てるんだ


そう言って、穏やかに、笑う。


その笑顔が、あの人と重なってみえた。


どこが、とはわからないけれど。


確かに、あの人と同じ〝なにか〟を感じた。


それは、僕にとっては、あまりにも印象的で。


あの人と共に思い出す、儚い桜の出来事となった。
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