空の青はどこまでも蒼く
「私に聞いてくれないの?」
「良いじゃないですか。俺から石田さんへ、です。」


オリンピックにアプリコットフィズ。
アプリコットフィズは飲んだことがある。
けど、オリンピックって言うカクテルは初めて。


どっちが私のなんだろう。
彼のことだから、アプリコットフィズが私だろうけど。


ここに通うようになってから、少しはカクテル言葉を勉強した。
アプリコットフィズのカクテル言葉は【振り向いてください】
きっと、私に差し出すつもりなんだろう。


けど、彼が頼んだオリンピックのカクテル言葉は?
何なんだろう?


バーテンダーさんがカクテルを2つ運んで来た。
山野君はバーテンダーさんが持った盆の上から両方のカクテルを手に取り、私にニコリと微笑んだ。
私もその笑みに微笑み返す。
やはり目の前に置かれたカクテルは【アプリコットフィズ】


ニコリと微笑み、カクテルグラスを持ち上げる。


「お疲れさま。」


そう言って、山野君の持ってるグラスにコツンと当てれば、グラス同士が心地良い音を立てた。




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